2010年8月24日火曜日

萬葉集13,14,15/4516

中大兄(なかつおひね)近江宮御宇天皇(=天智天皇)
三(みつ)の山の歌一首

香具山は 畝火(うねび=奈良県橿原)ををとし 
耳梨と 相あらそひき 
神代より かくにあるらし 
古昔(いにしへ)も 然(しか)にあれこそ 
うつせみも嬬(つま)を あらそふらしき

意味:香具山(女)は、畝火山(男)を男らしいと心移りし、
   古い恋仲の耳梨山(男)と争った。
   神代の昔から、そんなことがあったのだからこそ、
   今に至っても愛する者のことで争うようだ。

返歌
香具山と 耳梨山と あひし時 
 立ちて見に来し 印南國原

意味:香具山と耳梨山が争った時に、
   阿菩(あぼ=出典、播磨風土記)の
   大神が立ち上がって見に来た印南の
   国原(兵庫県播磨、明石)よ

渡津海(わだつみ)の 豐旗雲(とよはたぐも)に 入日さし
 今夜(こよひ)の 月夜(つくよ)淸明(あきらけ)くこそ

意味:海上豐にたなびく雲に落日が輝き、
   今夜の月は清らかであって欲しい

2010年8月22日日曜日

たまには、論語

万葉集から趣向を変えて。
これは、心に留めておきたいと思った言葉。

道之以政 齊之以刑 免民而無恥
道之以徳 齊之以禮 有恥且格

読み下し:これを道(みちび)くに政を以てし、
     之を齊(ととの)ふるに刑を以てす
     民、免れて恥無し
     これを道くに徳を以てし、
     之を齊ふるに禮を以てす
     恥あり、且(か)つ格(ただ)す

意味:法制禁令など小手先の政治で導き、
   刑罰で統制していくなら、
   民は法の網をすりぬけて恥とも思わないが、
   徳で導き、礼で統制していくなら、
   羞恥心を持って、かつ、自らをも正す


別に、今の政治を言っているのではないが、
自分自身、空手で子供を指導する時には、
念頭に置くべきかと思う。
やたらめったら怒ったりするよりも、
子供達に「礼」を教えることの方が
大切なのだと。
自らの「徳」は・・・
今後の課題にします(笑)。

2010年8月19日木曜日

萬葉集10,11,12/4516

暑い暑いと言いますが、
少し蝉の勢力図が変わってきています。
最近はニイニイゼミとツクツクボウシの
鳴き声をよく聞くようになりました。
徐々に、秋が近づいているのでしょう。

中皇命(なかつすめらみこと)、紀の溫泉に往きましし時の御歌

◎君が代も わが世も知るや 磐代(いはしろ)の
 岡の草根を いざ結びてな

意味:君の命も私の命も支配している磐代(地名)の
   岡の草を、さあ、結ぼう
   (磐代の草を結び止めることにより、
   命の永遠と無事、安寧を祈る意味があった。)

◎吾背子(せこ)は 假廬(かりほ)作らす 草なくは
 小松が下の 草を刈らさね

意味:愛しいあの方が一夜の宿を作っていらっしゃる。
   草がなければ、小松の下の草をお刈りなさい。

◎わが欲りし 野島は見せつ 底ふかき
 阿胡根(あごね)の浦の 珠(たま)ぞ拾(ひり)はぬ

意味:私が見たかった野島(地名)は見せて下さいました。
   しかし、海の底の阿胡根の浦(詳細不明)の
   珠はまだ拾ってはおりません


2010年8月17日火曜日

萬葉集8,9/4516

今日は猛暑により、なるべく外は避けています。

後岡本宮御宇天皇代(のちのおかもとのみやにあめのしたしらしめししすめらみことのよ)
天豐財重日足姫天皇、位の後、後の岡本宮に卽き給ひき(=斉明天皇)

額田王の歌
熱田津(にぎたづ)に 船乘りせむと 月待てば
 潮もかなひぬ 今はこぎ出でな

意味:熱田津に船を出そうと、月が出るのを待っていると
潮の流れも良くなった、さあ、漕ぎ出そう。

紀の溫泉(ゆ)に幸しし時、額田王の作れる歌

莫囂圓隣之 大相七兄爪湯氣 吾(わが)背子(せこ)が
 い立たしけむ 嚴橿(いつかし)が本

意味:(莫囂圓隣之〜ノ12句イマダ定訓ヲ知ラズ)・・・
   我が夫が立っていたのであろう、嚴橿の根本に。

2010年8月16日月曜日

萬葉集7/4516

明日香川原宮宇天皇代(あすかのかわはらのみやにあめのしたしらしめししすめらみことのよ)
天豐財重日足姫天皇(あめとよたからいかしひたらしひめのすめらみこと=皇極・斉明天皇)

額田王(ぬかだのおおきみ)の歌 未だ詳(つまびら)かならず

秋の野の み草刈り葺き 宿れりし 宇治(うぢ)の宮處(みやこ)の 
假廬(かりいほ)し 思ほゆ

意味:宇治の行宮(かりみや)で、秋の野の草を刈って葺き、宿った仮廬を思い出されるなあ

読み下しの参考文献は「新訓 万葉集上巻 佐々木信綱編 岩波文庫」

訳は、不肖私が。意訳もありますが、間違いがあれば、ご遠慮無くご指摘下さい。

萬葉集 5,6/4516

讃岐國安益郡(あやのこほり)に幸(いでま)しし時、軍王(いくさのおほきみ)、山を見て作れる歌

霞立つ 長き春日(はるひ)の 暮れにける わづきも知らず 
むらきもの 心を痛み ぬえこ鳥(どり) うらなけをれば 
玉だすき 懸(か)けのよろしく 遠つ神 
わが大君の 行幸(いでまし)の 山越す風の 獨(ひとり)をる 
わが衣手に 朝夕(あさよひ)に 還(かえ)らひぬれば 
ますらをと 思へる吾も 草まくら 旅にしあれば 
思ひやる たづきを知らに 
網の浦の 海をとめらが 燒(や)く鹽(しほ)の 思ひぞ燒くる わが下ごころ

意味:霞の立つ長い春の日も暮れていくように心の中も寂しくなってゆく、

ぬえこ鳥が鳴くように自然と悲しくなり、 

立派な襷を掛けのような美しいはるか昔の神や、

かつて天皇のお出かけになった山から吹き付ける風の中、

一人でいると私の衣の袖は朝に夕にはためけば、

益荒男と思っていた私だが、仮の床で過ごす旅の中では、寂しさを紛らわせる術を知らない

網の浦で海女達が焼く塩のように、私の心の内も寂しさに焼けるようだ


返歌


山越(こし)の 風を時じみ 寐(ぬ)る夜(よ)おちず 家なる妹(いも)を かけてしのひつ


意味:山越の風が時期はずれに吹くので、

寝る夜ごとに、家にいる妻を心に想い忍んでいたことよ


読み下しの参考文献は「新訓 万葉集上巻 佐々木信綱編 岩波文庫」

訳は、不肖私が。意訳もありますが、間違いがあれば、ご遠慮無くご指摘下さい。

2010年8月15日日曜日

萬葉集3,4/4516

戦争と政治についてはいろんな人がいろんな事を主張されているのでそちらにお任せして。
萬葉集

天皇、内野に遊獵(みかり)しましし時、中皇命(なかつすめらみこと)、間人連老(はしのひとのむらじおゆ)をして獻(たてまつら)しめたまへる歌

やすみしし わが大君の 朝(あした)には とり撫でたまひ
夕(ゆうべ)には いより立たしし 御執(みと)らしの 梓弓(あずさゆみ)の
なか弭(はず)の 音すなり 朝獵に 今立たすらし 暮(ゆふ)獵に
今立たすらし 御執らしの 梓弓の なか弭の 音すなり

意味:この国を安らかにお治めになっていらっしゃる天皇は梓弓を、朝には大事に愛(め)で、夕方にはそのそばにお立ちになり、御手にお取りになった梓弓の弭(ゆはず)に弦(つる)を掛ける音が聞こえている。朝狩りに今行かれるのだろう。
そして、夕狩りに今行かれるのだろう、御手にお取りになった梓弓の弭に弦を掛ける音が聞こえてる。

反歌

たまきはる 宇智の大野に馬竝めて 朝ふますらむ その深草野

意味:宇智の大野に馬を並べて朝野をを踏み立てて狩りをしておいでであろう、その生い茂った深い草の野で。

読み下しの参考文献は「新訓 万葉集上巻 佐々木信綱編 岩波文庫」
訳は、不肖私が。意訳もありますが、間違いがあれば、ご遠慮無くご指摘を。