味酒(うまさけ) 三輪の山 あをによし 奈良の山の
山の際(ま)に い隠るまで 道の隈(くま) い積るまでに
つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放(みさ)けむ山を
情(こころ)なく 雲の 隠さふべしや
意味:味酒の三輪の山が、美しい奈良の山々の際に隠れるまで進み、
道が折り重なるまで、じっくりと見続け、
幾度も望み続けていこう山を、
心なくも雲が隠すべきだろうか。
返歌
三輪山を しかも隠すか 雲だにも
情(こころ)あらなむ 隠さふべしや
意味:三輪山をこのように隠すのか、
せめて雲だけでも心あって欲しいものを
隠すべきではない。
返歌
へそがたの 林のさきの 狭野榛(さのはり)の
衣(きぬ)に 着くなす 目につくわが背(せ)
意味:綜麻(へそ)形の林のはずれの
野榛(はしばみ)が衣に染みつくように、
私の目にいつまでも残る君の姿よ


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