2010年9月2日木曜日

萬葉集17,18,19/4516

額田王近江國に下りし時に作れる歌、井戸(ゐのへの)王のすなはち和(こた)へたる歌

 味酒(うまさけ) 三輪の山 あをによし 奈良の山の
 山の際(ま)に い隠るまで 道の隈(くま) い積るまでに
 つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放(みさ)けむ山を
 情(こころ)なく 雲の 隠さふべしや

意味:味酒の三輪の山が、美しい奈良の山々の際に隠れるまで進み、
   道が折り重なるまで、じっくりと見続け、
   幾度も望み続けていこう山を、
   心なくも雲が隠すべきだろうか。

返歌

 三輪山を しかも隠すか 雲だにも
 情(こころ)あらなむ 隠さふべしや

意味:三輪山をこのように隠すのか、
   せめて雲だけでも心あって欲しいものを
   隠すべきではない。

返歌

 へそがたの 林のさきの 狭野榛(さのはり)の
 衣(きぬ)に 着くなす 目につくわが背(せ)

意味:綜麻(へそ)形の林のはずれの
   野榛(はしばみ)が衣に染みつくように、
   私の目にいつまでも残る君の姿よ


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