2009年5月16日土曜日

武道論(歩行その5)

 さて、歩行に於ける武道性とは何か綴ってみようと思う。
 前回、図を以て、歩行とは「動歩行」と「静歩行」との2種類あると書いた。そして、「動歩行」を通常歩行と位置づけた。
 が、全ての人が、果たしてあの図の通り歩行を行っているのだろうか。否、そのような人間は皆無といっていいだろう。
 ここにこそ武道家と一般人との大きな違いがある。
 そこで、今回掲げた図を見て欲しい。ここでは「武術的歩行」と「間違った歩行」と分けてみた。ここでいう“間違った”とは武術的に見てという意味である。
 「間違った歩行」を見て分かるように重心がジグザグしている。一方、「武術的歩行」は一直線を描いている。
 これはどういうことか、一般の人が行っている通常よく見る「間違った歩行」は一旦軸足に重心を移した後、重心を前に移しながら反対の足を出しているのである。
 普通の人は、この“重心を使っている”ということに気付く事なく、無意識で「歩行」を行っている。その為、「歩行」という事は誰でも出来る当たり前の事と捉 えられ、「間違った歩行」を行ってしまっている。具体的には、がに股、内股、猫背など一般的に姿勢が悪いとされているものである。 
 一方、この重心の認識をもった人間は、歩行が如何に人間にとって重要かを知っている。その為、体力的消耗が少なく、しかも素早く動く方法ととろうとし、自然に胸を張り、背筋を伸ばす、いわゆる良い姿勢になるのである。そして、これを利用する事によって、重心をうまく操作し、転身、移動、静止を自然に行う事が出来るようになってくる、いわゆる無駄の無い動きがそれである。そして、武術家が、年老いて尚、姿勢が良い理由でもある。
 重心を自分の意思で動かしているかどうか、これこそが武術家と一般人とを隔てる大きな違いなのである。
 「歩く事それ即ち武道」言われる所以がここにある。

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