さて、今回は二足歩行について詰めて論じてみたい。我々は人間がどのように歩いているか、右に歩行の原理を単純化した図を掲げてみた。
人間の歩行を大別すると、図で示した通り、「動歩行」と「静歩行」とに分けられる。
「動歩行」とは、通常我々が自然に行っている歩行である。「静歩行」は泥棒などが音を立てないように、抜き足差し足と歩く、いわゆる、「忍び足」である。
この図を見てお気付きになられたであろうか。「静歩行」が重心を安定範囲内に置いているのに対し、「動歩行」が安定範囲から外に出しているのだ。これはどういう事か。
前回、私はこの安定範囲から重心がはみ出ると倒れてしまう、と書いた。では、これでは倒れてしまうではないか。そうだ!「動歩行」とは倒れながら歩いているのだ!!これこそ二本足で立つという身体特徴を手に入れた人間の、不安定である事を逆手にとったコペルニクス的発想なのだ。
人間は歩く時、必ず体勢を不安定にした後、足を前に進めている。その証拠に、人はつまずくとこける。つまずくという事は、自分の予想した場所に足を置く事が出来ず、安定範囲からはみ出た重心を支える事が出来なかったということである。柔道の出足払いという技は、これを利用したものである。
つまり、人間は、自分の体を倒しながら、しかも倒れないように重心に合わせて足を繰り出す事によって、歩行という動きを成し遂げている。これこそが、ロボット開発に於いて、二足歩行を難しくした大きな理由の一つであろう。
これに対して、「静歩行」は常に安定している。要するに、重心を安定範囲から出す事が無いため倒れるリスクを低くした歩き方となるのだ。足下が不安定なところなど用心しながら進なければならない時を想像して頂ければ、分かりやすいと思う。しかし、そのスピードは、動歩行に比べると、明らかに遅くなる。
これである程度、人間の歩行についてイメージ出来たのではないのだろうか。
次回は、この歩行から武術的身体操作について書いてみたい。

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